第2話 魔法の時間|魔法のジャム

一晩寝かせたジャムはどうなったでしょうか。
翌朝、朝ごはんよりも前に、ジャムです!昨日あれだけおいしかったジャムがもっとおいしくなっているのか、家族全員、気になってしかたがありません。
それぞれ、スプーンをもって一口ずつ食べてみるとんっ!おいしい!やっぱりとってもおいしい!!でも昨日よりも味がまろやかというか・・昨日はそれぞれのおいしさを主張していたような感じだったけど・・今日になってみたら、それぞれが合わさりあい、“一つの芳醇で素敵な食べ物”になっています。
みんな、驚きました。父が言ったように、まるで魔法にかけられたかのように、おいしくなっていたのです。
何かにつけて食べるのさえ もったいなくて、スプーンから、口の中にいれて、とろけるようで、とろけないその、優しい舌触りの中から、信じられないほどの芳醇な香りがどこまでも広がってゆき、舌で少しくづしただけで、葡萄の程よい酸味と甘みが溢れでて、なぜか、うっとりするような幸福感、満足感につつまれます。

夢まで膨らみます。いつか自分たちの土地に、いろんな果物を植えよう、季節ごとに旬のフルーツを少なくても、毎年味が変わっても、おいしいジャムにしよう。そして、かわいいビンにつめて限定の味を販売してみるなんて素敵だね。
みんな思い思いのジャム屋さんの話で盛り上がり、とっても夢のある素敵な時間を過ごしました。

私たちの作ったジャムは、ナイアガラ・ナポレオンジャムと名付けました。
もう、庭のナイヤガラは、使ってしまったので、早速、再現実験をすることになり、近くのスーパーで、ナイヤガラを大量購入しました。
全国的には日本のぶどうの全生産量の5%に満たない稀少な葡萄ですが、その理由は皮が薄く、長期流通に耐えられないことが主です、そのエメラルドグリーンの美しさと、マスカット系とは全く異なる、独特な味と香りが魅力的な、美しくおいしい葡萄です。

その故郷は、ニューヨーク州ナイアガラ、コンコードとキャッサデーの交雑種として誕生したそうです。
コンコードは、米原産のブドウの一種であるラブルスカ種(別名:fox grape)で、果皮は濃い青や紫色で、白っぽい蝋で覆われている赤ぶどうです。キャッサデーは、緑がかった白の葡萄でコンコードと同じfox grape種。とても良い香りとフレッシュな果汁をたっぷりと含む良好な品種です。

面白いですね、あのエメラルドグリーンのナイアガラが、実は、赤葡萄と白葡萄の交配種だったんです。
これは、後でお話しする、超おいしいぶどう、レッドナイアの誕生も納得です。

もっと色々調べるべきだったのでしょうが、あの魔法のぶどうが、いとも簡単にできたので、同じことをすれば、きっと簡単にできると思っていたのです。で、購入してきたナイアガラをジャムにしようととりかかりましたが、できない!! いくらやってもできないんです!!

いくら煮詰めても、ゼリー状になりません。 ど~して?

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